Mar
30
2019

SPRING COLLECTION “拾玖丿零捌”

BORO・シルクのローブ

ハギレを使ってツギハギを重ねた、家の中で使用する衣服や布は「BORO(ぼろ)」と呼ばれています。 150年ほど前まで、寒冷な東北地方では木綿が貴重だったため、青森などでは麻布を使って刺し子(刺繍)で補強し、すり減って穴が開いたらまたハギレでツギハギをして長く愛用してきました。 現在、骨董の世界で とても高額で取引されるほど、BOROのハギレの人気は高く、近年ではBOROをテーマにしたデザインも、注目を集めています。
そのBOROの精神を最も具現化できるアイテムは、やはり和服だろう!と〈和次元 滴や〉は考えています。 もちろん、モッタイナイ精神が表の顔であることは疑うべくもありませんが、その裏側には 経年劣化による 汚れ、擦れ、破れ等の くたびれた風合いに対する敬意や憧れが存在するのは確かでしょう。 世間で着物というと、きれいに、派手に、上品に…と着飾る方向でしか注目されておらず 辟易しますが、日本語に尊敬語と謙譲語があるように、くたびれた風合いによって美しさを醸し出すというジャンルの和服があっても良いのではないか… そんな想いも【浮世しのぎ】の出発点の1つとなっているのです。

さて、ここで紹介するのは、袖無しの風土ローブです。 表は絹の裂を織り込んだ、いわゆる裂き織りで、裏地には しっとりとした肌触りのシルクサテンを合わせており、品質的には 絹100%。 表の裂き織りは みっしりと織り込まれているので、重厚感が半端ではありません。 対して、シルクサテンの黒い裏地は艶やかで美しく、「ボロは着てても、心は錦」的に、うわべは粗末に見せながら、内には優美を備えたデザインに仕上げました。 立体的なフード、隠されたポケット等、機能面にも手抜かりはありません。 仕立てが 大変困難なので、1点のみの製作です。
圧倒的な凄みを感じさせる素材を、個性的なデザインに封じ込めていますが、落ち着いた色味のせいか どこか上品さを漂わせています。 くたびれても、朽ちることなく息を吹き返す生命力のようなものが、宿っているのかもしれません。

【風土ローブ】
No.UUA0008
Material絹 100%
Size一二五(L)
Price120000
Limited1点
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