士揃ヱ：２種ツイルの３色使い

エンジ色と黒の片身替えの胴着と グレーの袴との、３色使いコーディネート。上下はツイル素材で 表情に統一感があるが、厚みは異なる。

濃く鮮やかな紅色と深い黒との対比が冴える不揃胴着は、ハリのある風合いで、美しいシルエットを演出してくれる。赤・黒の色違いを片身替えに仕立てた胴着は、最も人気が高く、【士揃ヱ】の定番となっている。シワが寄りにくくて、柔軟性があるツイルなので、洗濯等においても扱いやすい。

そして、胴着との統一感がある表情を見せるグレーの和士袴も、同じくツイル素材だが、袴向きに、胴着のツイルより若干肉厚にしている。同一の素材のように見えながら、身体の部位ごとの機能に合わせて、生地の品質を調整した。こちらも、ウォッシャブルでイージーケア。洗練された艶と軽さに加え、ハリがあり 発色の良い上質なポリエステル。裾を絞り括る追加機能の「出立括り」では、ヒダが より際立ち 力強さが加わる。シワになりにくくて、便利だ。

斬新な魅力を放つ この組み合わせだが、どの色も深い色で、素材的な統一感もあるので、見た目のアグレッシブさの根底には安定的な品の良さがあるのだ。宴の遊び着にも丁度良いだろう。

また、襦袢を着なくても ご覧の着姿が完成するように、胴着には着脱可能な付け衿が付属されていて、コーディネートの楽しみが多いのも【士揃ヱ】の特徴。幾何柄の付け衿に加え、脇にちらりと覗く帯には、滴や紋織・白×黒の単ヱ帯を合わせて、モダンに纏めた。

士揃ヱ：濃紺サージと軽デニム

柔らかな肌触りのサージの胴着と ハイクラスなライトデニムの袴との、すっきりとして精悍なコーディネート。

渋いグレーの和士袴は、一般的にライトオンスと呼ばれる８ozのデニムで仕立てている。当然、見た目以上に軽く、しなやかな風合い。デニムと言いつつも、一流のファッションブランドでも採用される繊細さを持つ、上質な素材だ。素朴な表情ながらも、強張らず 優しい肌触りで、実用的。裾を絞った「出立括り」では、立体的な造形美が加速し、無骨さも際立つ。この質感と、袴のシルエットにより、男らしさが醸し出されるのだ。

一方、濃紺の不揃胴着は、丈夫で実用的な梳毛の綾織物で仕立てている。緩くストレッチを効かせた柔らかな風合いに加え、適度なハリと落ち感があるので、仕立て映えがする。控えめだが、とても上品な質感なのである。しかも、緻密で丈夫なポリエステル素材なので、洗濯等のメンテナンスにも気を遣わずに済み、普段使いに向いているから最高だ。

さらに、胴着に付属の着脱可能な付け衿に薄ブルーを合わせ、爽やかな印象をプラス。襦袢を着なくても着姿を完成させる手軽さは、有り難い。

このシンプルな袴と胴着の組み合わせには、力強さと、飽きのこない気品がある。

脇にちらりと覗く帯には、グレー×紺の滴や紋織・単ヱ帯を合わせて、硬派に纏めた。

士揃ヱ：漆黒の綾織り

上下が共に黒のシックなコーディネート。袴と胴着は同じ綾織ながら、袴の生地では緯糸だけを太くした。

漆黒の和士袴は、控えめな光沢感が上品な印象の綾織で、丈夫な素材感。軽めだが、シワが寄りにくくて、実用的な袴に仕上がっている。ハリのある風合いは、ヒダの保持性も良い。当然、裾を絞った「出立括り」でも、立体的で上品な造形美を見せてくれる。

同じく漆黒の揃胴着も、袴とほぼ同じ素材だ。ただし、上半身の機能性を考慮して、胴着の綾織の方は、袴の綾織より細い緯糸で織り上げている。つまり、袴に比べ 若干薄手な仕上がりなのだ。スーツのように上下揃いで、きちんと感を演出しながら、着心地にも配慮してあり、微かに艶のある表情も上品。遊び着から軽いフォーマルまで着回せる用途の多い【士揃ヱ】に仕上がっている。胴着に着脱可能な付け衿には、グレーの細かいチェックを合わせてモダンな印象に。さらに、胴着との相性が良い赤×黒の単ヱ帯を多めに見せて、バサラに アクセントを効かせた。実質的には４点セットである。

士揃ヱ：薄手縞と軽デニム

薄地で形態安定性の高い縞柄胴着と ハイレベルな８ozデニムの袴との、自然体なコーディネート。

縞柄の不揃胴着は、染めではなく、縞模様を織り出した織物である。生成りや赤茶、灰色等の色糸のグラデーションで縞になっている。アースカラーの配色が素朴な印象だが、縞柄は緻密に織られており、ポリエステルを混紡した素材も 形態安定性が高く機能的。とにかく薄く軽い。さらりとした涼しげな風合いも 心地良いのだ。衿元のカーキ色は、胴着に付属された着脱可能な付け衿で、コーディネートの楽しみを増やしている。

渋いグレーの和士袴は、８ozのデニムで仕立てている。１０oz以下の軽いデニムは、ライトオンスと呼ばれている。当然 この袴も、見た目以上に軽い。 しなやかな風合いで、一流のファッションブランドでも採用されるレベルの上質な素材だ。素朴な表情ながらも、強張らず 優しい肌触りで、実用的。裾を絞った「出立括り」では、無骨で立体的な造形美を見せてくれる。この素材感と、袴のシルエットで、古風な雰囲気が醸し出されるのだ。

上下ともに軽量なので、着心地も軽い。また、気兼ねなく着回せる素材で、胴着が明るめの色なので、旅先で着るのも楽しいことだろう。ナチュラルで古風な雰囲気の、真っすぐさが滲み出るコーディネートだ。

単ヱ帯には、新柄の茶×ターコイズを合わせ、アクセントを効かせた。実質的には４点セットである。

士揃ヱ：ウール混カルゼ

しなやかで形崩れしない素材の上下で、スーツや制服のように合わせやすくて実用的、かつ実直な雰囲気のコーディネート。

控えめな光沢を忍ばせた濃紺の和士袴は、ウール混のカルゼで仕立てている。糸の密度を高くして、丈夫に織られているが、柔軟性があり シワも寄りにくい。使いやすい色目も、ヘビーユーズ向き。堂々として、好感のもたれるコーディネートは、オフィシャルにも存分に使えそう。裾を絞った「出立括り」でも、控えめな光沢と ヒダの影が上品さを崩さない。メンテナンスの気楽さも嬉しい。

また、ブルーグレーの不揃胴着は、斜子織の一種で、微かな光沢がある。柔らかく 通気性に富み、こちらもシワになりにくい素材だ。丁寧な織りと、やや艶のある表情が、知的な雰囲気も醸し出している。

機能性を重視した使いやすい素材で仕立てた上・下は、きちんと感があり、まっすぐな印象で、硬派である。

全体に調和するグレー×紺の滴や紋織・単ヱ帯を 脇にちらりと覗かせ、胴着に着脱可能な白い付け衿も、上品なアクセントを加えている。